『日本のお米が消える』 その2 何が問題なの? 日本は「食の安全、安定供給」を失い、国民の多くが「がん」になるリスクが増大します。
今日は、ワールド・フォーラム緊急ご報告の「その2」です。「その1」はこちら。
『種子法』は1952年に、坂田英一衆議院議員(後、農林水産大臣)の議員立法で作られました。(『日本のお米が消える』,p50)
その理念は、「米麦等の主要農産物の増産をはかり、国内においてその自給率を高めますことが、わが国の自立の基礎条件である」(山田先生の解説動画にリンク)としております。(1952年法案説明)
その甲斐あって、戦後米だけは100%自給できたのです。その最重要な法律が、国民の代表である国会で、森友問題審議(10億円規模にすぎない問題)の審議時間の数十分の1の審議時間しか掛けれていない!これは、経営学で言うところの「重要性の原則」(経営にとって重要な資源に、まずしっかり取り組む)からしてもナンセンスと思われます。
今日は『種子法』廃止の問題点を整理します。
1)手続きの問題
●アメリカがTPPから離脱したのに、継続している。
●「規制改革推進会議」だけで、「食料・農業・農村政策審議会」の議論を経ていない。
● 国会で十分が議論を展開し、国民に分かりやすく伝える公明正大な国民的な論議がなされていない。「マスコミで論戦がなされた」記憶がありますか?
2)公共財の企業への払い下げ問題
●そもそも、種子は「公共財」である。
●種子などの、「生物」に特許権を付与したアメリカの特許法が間違っています。日本でも「生物特許」を認めましたが、アメリカ追随は危険です。現に、ドイツでは一度「生物特許」を認めたが、その後誤りとして「種子」には特許権を認めない法律構成となっています。
*<ドイツと日本の違いは何か?>
ドイツは、日本の原発事故(東電福島)を受けて、「日本のように工業技術が発達した国で原発をコントロール不能だと明らかになったのだから、我々にコントロールできるわけがない」と判断して、「原発廃止」に舵を切りました。
その決定は、どのようになされたか?日本では、「専門家のご神託」に従う国民性があるようです。ドイツ人は、「専門家よりも一般人の常識」を重視して物事を決めるようです。この場合ですと、専門家委員会の意見をAとし、倫理委員会のように(宗教家、哲学者、・・・と幅広い一般人から構成される委員会)の意見をBとすると、「A<B」で物事を決めているのです。
なぜか?「専門家」は確かにその分野について豊富な知見をお持ちです。しかし、その一方では、「その場の利害関係」に既に取り込まれていて、「自分の本当の意見」を表明することが往往にして困難な状況にある(例えば、身近な例をあげると、医師は、自分の家族に絶対勧めない治療法(抗がん剤・放射線治療)を患者に勧めます。患者より病院の売上を優先する「立場」だからです。ですから、病院で医師にその治療法を勧められたら、「先生は、ご自身やご家族にもその治療法を勧めますか?」と尋ねてみてください。正直な医師は「勧めない」と答えます。→『あぶない抗がん剤』船瀬俊介、共栄書房)のです。ですから、ドイツでは「一般人の常識」にしたがって、世の中の最重要課題の解決方針を決定するようです。
●払い下げ企業は、3社から5社で世界の種子を占有している「超独占企業」であるので、一度彼らに制御権を渡してしまえば、種子の価格は直ちに10倍以上になっています。
3)環境破壊の問題
●「種子」だけでは「利益率」が悪いので、化学肥料と農薬をセット販売します。強力な農薬でも、米やトウモロコシは枯れないように遺伝子組換えをし、草だけが枯れる農薬を散布します。しかし、「草」は強力な農薬にも数年で耐性を獲得し、モンサント社の謳い文句どうりには枯れなくなります。そこでアルゼンチンの農民は、ベトナム戦争で使われた枯葉剤に手を出しています。(このドキュメンタリーは、このプログの3月6日に記載しました)
4)「食の安全」と「発ガン性」の問題
●モンサント社は、「安全」とは言っていますが、その試験結果は3ヶ月目までしか公表していません。
●しかし、2012年仏カーン大学のセラリーニ博士の研究では、モンサント社の遺伝子組換えトウモロコシを24ヶ月投与する試験をしたところ、4ヶ月目から腫瘍ができ、24ヶ月目でオスの50%。メスの70%が寿命前に死亡した。(『日本のお米が消える』p.139)
5)「食料自給」の問題
●先進国の中で食料自給率が低下しているのは、日本だけです。いまの50%でも異常に低いが、その50%を支えていたのが「米、100%」だったのです。その「米100%」を支えていたのが『種子法』なのです。
●これ(「種子法」)を失えば、「食料安全保障が崩壊し、日本は食料輸入先(アメリカ)の言いなり、今以上に、ならざるを得なくなります。ですから、この法案廃止は、自殺行為と言えます。
私は、一国の独立は、a)自前の軍隊とb)食料の完全自給(80%以上)が必要条件だと考えます。大方の先進国は、この条件を満たしています。一方、十分条件は、c)正しい自国の歴史認識とd)国際法に則り自国の利益を堂々と主張し、交渉できる外交力です。現在、これらの4条件は全て未達のようです。
それは、a)「自衛隊があるのでは?」との声が聞こえてきます。しかし、米国の軍隊が首都東京をあたかも「制圧する」かのように駐留(厚木・横須賀)し、「日米地位協定」により日本の制空権は完全に米軍が掌握しています。詳しくは、『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』(矢部宏治、集英社インターナショナル、p35)。そして、「自衛隊の指揮権も完全に日本のものか?」極めて疑問です。詳しくは、『「日米指揮権密約」の研究』(末浪靖司、創元社)。ですから、「日米安保条約」および「日米地位協定」を解除しない限り、「自衛隊」を日本の「軍隊」と呼べるのか?疑問です。
ここで、もうひとつ参考になるのが、フィリピンです。フィリピンでは、米軍基地を国内から撤退させながら、お互いが侵略を受けた場合に助け合う双務的な条約を20年以上前に実現しています。(『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門』(前泊博盛、創元社、p225)。地位協定の国際比較なら、『主権なき平和国家』(伊勢崎賢治、布施祐仁、集英社)。なぜ、フィリピンやイラクでできたことが、日本ではできないのですか?
b)は、現在でも50%ですから論外ですね
c)は、このブログ「日本の米が消える」その3「日本の米が消える」前に「日本の歴史は、こうして消えた!?」をご覧下さい。
d)は、『「日米合同委員会」の研究』をご覧下さい。外務省は、日本の「外務省」なのか?アメリカ政府の「出張所」なのか?極めて疑問です。
●「では、戦後の日本はどれだけ「アメリカのコントロール下で運営されてきたのでしょうか?」。今まではどのぐらい、アメリカの言いなりになっていたのか?
我々、一般人には知る由もないことですが、外務省の元情報局長であった孫崎享(まごさき うかる)氏が事情を明らかにして下さいました。『戦後史の正体』(創元社)です。
●TPPの元、早速「種子法」が廃止されました。そして、現在厚労省は「せっせと、アメリカの農薬を使ったレベル(アメリカの農産物は太平洋を渡って日本の食卓に登ります。その間腐らないようにするため、収穫後に防カビ剤を強力に散布します。その水準は「安全なの」?)に合わせて食の安全基準を引き下げる法律改正に邁進中です」。それは、食の安全基準が貿易障壁としてISD条項でアメリカの一企業に日本政府が訴えられて、膨大な損害賠償を吹っ掛けられるのを避けるためです。この仕組みは、山田正彦(元農林水産大臣)の著作『アメリカも批准できないTPP協定の内容はこうだった!』(苫米地x山田出版記念対談の動画解説)をご覧ください。既にこのブログ3月6日に記載しました。
●TPPが国会を通過した時、石原伸晃担当大臣がどのように発言していたのか、覚えていらっしゃいますか?明日のプログ(5月5日)をご覧ください。
その3はこちらhttps://onnetsu-life.com/2018/05/05/『日本の米が消える』%E3%80%80その3%E3%80%80「日本の米が消/