その13 『夜と霧』の心構えでやり抜く
ナチスドイツのユダヤ人虐殺の象徴とされるアウシュヴィッツ収容所から奇跡的に生還したフランクルは、なぜ生き延びることができたのか?『よると霧』をご一読いければその要諦を掴むことができます。一言で言えば、「諦めない」ことに尽きます。
とにかく、がんを少しでもその成長を遅らせることができれば、その間の医学の進歩により画期的な治療法が編み出される可能性が高いのですから。
メンタル・タフネスをいかに養うかを説く『ビジネスマンのためのメンタル・タフネス』の中では、フランクルについて次のように触れられています。少し長いですが、引用させていただきます。
「苦労して目指す最終目標も、そこまでの方向性も、すべてが重要である。というのも、それらは生活のあやゆる場面に意味を与え、はずみをつけてくれるからである。数多くのヨーロッパ人がナチスの強制収容所で死んでいった中で、ウィーンの精神科医ウィクトル・フランクルは、アウシュビッツとテレゼンシュタットを生き抜いた人である。彼は、長年に渡って書き綴ってきた原稿をナチに取り上げられ、処分された。そして、妻と母親も収容所で亡くなった。ふつうの人間にとって生きがいをすべて失ってしまったのだ。
フランクルは、後世にこの恐怖(残虐行為)を伝えるべく、心に誓った。彼は一瞬一瞬を死と背中あわせに生きながらえ、とうとう『夜と霧』という一冊の本を立派に書き残した。フランクルの至った結論とは、人生でもっとも大切な事は一人一人が自らの存在の意味を探し求め、存在する場面に活力を与えてくれるような動機を探し求める事、であった。
ああるいは、哲学者ニーチェの言葉を借りれば、『自分の人生のWARUM(何故)が見つかれば、あとのWIE(如何に)とも、たいていうまくやっていける』のである」。
三井ヘルスケアみと