がんコンベンション(第22回)1.帯津良一先生

帯津良一先生(東京大学医学部卒、帯津三敬病院名誉院長)の『がん治療における戦略的思考について』
帯津先生は、このがんコンベンションに初回から連続出席されている大御所です。
先生のお話は、哲学的でした。その問題意識は、「現在のがん治療の現場に欲しいのは戦略なのだ。西洋医学に代表される”治し”の方法と自然治癒力の向上をはかる代替医療(西洋医学以外の治療法)の”癒し”の方法を戦略的に統合することこそ焦眉の急」ということです。

帯津先生

大阪大学での『思想としての医学概論』から始まり、ホリスティック医療の基礎を築いたフランス哲学(Heri Bergsonなど)を紹介された後、西洋医学・ホリスティック医学・霊性の医学をからだ・こころ・いのちに対応して説かれました。

さらに、『戦略的思考とは何か』(岡崎久彦:外交官)やエドワード・ルトワックの『戦略論』を紐解きながら、がん治療でも全体の戦略が大切でり、その要諦は、「①歴史に学び、②平常心に戻り、③一瞥してひらめき、④不屈の意志をもって遂行する。」ことである。とりわけ、「一瞥してひらめくことが重要で、決して分析的に見てはならない」のだそうです。

私達が、日頃総合病院を受診した際、各科に分断された医療に遭遇して、「どこか満たされない思い」を感じていたのは、帯津先生が説かれる「からだ・こころ・いのち」を統合した医療を求めていたからなのだ、と気づかせていただきました。

三井ヘルスケアみと