がん哲学外来 「誰にでも訪れる”死”をどう考える?」

NHK団塊スタイル 2016.11、4(金)放送
「誰にでも訪れる”死”をどう考える?」
がん哲学外来」(www.gantetsugaku.org/)をご存知ですか?
順天堂大で病理学を専門にしている樋野 興夫先生が立ち上げ、今や全国で100箇所以上の拠点にがん患者が集まり、お互いの体験を語りあい、支え合う会合が開かれています。
多くの人が、「がん=死」という暗いイメージに圧倒されている中、「天寿がん」という言葉に象徴されるように、「がんと共に生きていく」とう発想のもと、医師に勧められた抗がん剤治療をやめて、「毎日のちょっとした瞬間を大切に生きよう」と生き生きとサックス演奏にチャレンジする埼玉在住の女性が紹介された。
ゲストの三輪明宏さんは、日蓮聖人の言葉を紹介した。「臨終することを習いて、後に他事を習うべし」と。その意味は、「人は、死ぬ時に財産がどれだけあっても、あの世に土地も、お金も持っていける訳ではない。「では、何?」。それは、人の心の中に、惜しまれて、いつまでも悲しまれて、盆暮れ・彼岸には、お墓に来てもらえるだけの、それだけのことをして生きなさい。」と言うことなのです。そして、埼玉の女性について、「自分はがんだけど、生き生きと生きることができますよ」との示唆を皆さんに与えているのではないでしょうか?」と語りました。

今の医療が忘れている、心のケアについての有益な取り組みを知りました。
国井キャスターは、「酒もたばこもやり、でたらめな人生を歩んで来たのだから、が んになったのは因果応報。こうして、生きていられることが奇跡。がんになって、1日 1日がとても大切に思えるようになりました」と語った。恐らく昨年ご自身が、胃がんの手術を受けたことで、「がん患者に伝わり易い語り口」になっていたのかも知れません。

カトリック修道会の鈴木秀子シスターは、深刻な病床の人たちの家族に乞われて、その最期を看取って来ました。鈴木さんは、91歳のある患者さんの手を取って、静かに語り掛けました。「吐く息とともに、心配や不安は全部外に出で行きます。過ぎ去ったことは、全部許されています」。そして、患者さんの手を取って、呼吸を合わせると、患者さんと一体感を感じる瞬間があります。わずか5分足らずですけれども、その時間はものすごく貴重です。一人の人の人生の最後に立ち会わせていただけるなんて、ご病人に接した途端に、一体感を感じるます。人間の普段見せない、素晴らしさを見せてくれる。それに感謝だけで、伺っているんです。死なんて特別のことじゃなくて、人生の続きに起こってくるものですから。私たちが、一息一息しているのと同じように死の瞬間は死を受け入れて、大丈夫ですよ。最後の瞬間は、病との闘いも終わり。役割や肩書など・・全てのものから解放される。死と生は対立するのもではなく、魂が安らぎの中にに入っていく過程なのだ。人は、「死」を目前にした最期に何を求めるのか

世の中不確実のことばかり。でも、全ての人が死ぬということだけは確実です。毎日 眠りにつく時と同じように、自然の連続で眠るようにあの世に逝くんです。

ほとんどの人が人が言うんです。『仲直りしたい』と。だから、人間の一番の心残りは、誰かに会いたいのではなくて、心安らかになるには、人間同士の愛が欠如したのを取り戻したい。お互いに仲良しになりたい。人は、死ぬ瞬間、愛の感覚に満ちた本来の自分に戻ることができる。最期の瞬間は、本当に素晴らしい表情を見せるのです。
 だから、意思をもって、向こうの世に生まれ変わっていく、素晴らしい瞬間だと思うよ うになりました。
「死は恐れる必要はない」。鈴木さんは、階段から落ちて臨死体験をしたこと(『臨死体験生命の響き』大和書房)があります。そこには、時間がない。その体験は、人々に受け入れられなかったが、遠藤周作さん唯一人には受け入れられました。

三輪さんは、最後に凄いことを語りました。
「仏教もキリスト教も申し合わせたように、死ぬ瞬間に念を吐き出させています。それは、この世に、残念ということがないようにさせています。それは、あの世は、時間も空間もない想念の世界だからです。人間の心の在りようが、その人の住むところを決める。その人の想念に応じて、愛に満ちた人は、安らかな世界に住みますが、邪念に満ちた人は暗い世界に住みます。だから、生きている間は、日々、誇り高く、自分に恥をかかせないような生き方を日々積み重ねていく。しかし、人生には『正負の法則』人生にはいやなことやいいことが起こる。嫌な時間の後にはすてきな時間がやってくる。」と結びました。

こうした人生全体に対する大局観をもって、治療・療養生活を送ることがストレスを軽減して、「がんの餌」を減らすことができるだと思われます。がんの餌=「ブドウ糖」+「ストレス」ですから。

三井ヘルスケアみとhttp://mitsui-healthcare-mito.com