アメリカでは、当たり前の代替医療の世界(『OTAレポート』の成果)

マスコミ・メディアが伝えない世界とは、一言で言えば、日本の一般的な病院では施行されていない、「代替医療の世界」です。日本では、「民間療法」と片付けられてしまい、「三大療法」(手術、放射線、抗がん剤)と比較して非科学的とされています。日本の多くの医師は、「大学で学んでいない」ことを理由に、その効果については否定的な見解を持っておられるようです。

しかし、医療先進国のアメリカでは、1980年代に国家プロジェクトとして、「ゼロベースで代替医療の効果を科学的に検証」し、「がんによる国民の死亡者数を減少させる」という快挙を成し遂げております。

この違いを生んだのは、一般に『OTAレポート』と言われる報告書です。
星野仁彦医師が、簡潔に次のように要約しております。『ガンと闘う医師のゲルソン療法』(星野仁彦、p275-277)から引用すると。

「1988年アメリカの上下両院議員40名は、連盟でOTA(Office of Technology Assessment:アメリカ議会技術評価局)にがんの代替療法のことを調査するための専門部会を発足させました。彼らは、次のように主張したのです。
『通常療法では、治らないとされる進行がん、末期ガンの患者の中に、代替療法で治っているとされる患者が少なからずいる。議会はこれらの療法のことを詳しく調べ、国民に知らせる義務がある』
OTAはこの勧告を受けて、ガン問題調査委員会を設けて調べました。その結果、30年前と比べて現在のがん療法は少なくともNCI(アメリカ国立ガン研究所)が言うほどには成果が上がっていないことがわかったのです。
OTAレポートでは、このような調査結果をふまえて、政府やNCIに対して次のように勧告しています。
①NCI(アメリカ国立がん研究所)は、代替療法に関する国民の関心に応えられるように体制を整備するべきである。
②政府やNCIは、代替療法の研究や治療実験などのために研究資金の援助をするとともに、代替療法を実施している病院やその治療家と協力して、代替療法の成果をもっと詳細に評価する作業をすすめるべきである。
③現行の保険制度は代替療法を保険の対象にしていない。しかし、これは代替療法の普及を妨げる障害になっている問題である。」

以上のように、このOTAレポートの問題意識が、がんに罹患した私自身が現在持っている日本のがん治療に対する問題意識そのものであることに、愕然とします。アメリカでは、約30年前に指摘されていた現状が、2018年の日本の現状なのです。
しかも、この構図はアメリカでは、議会(国民の代表)が、明確な方針を官僚組織に指示し、民主主義が貫かれていることを示しています。

三井ヘルスケアみと